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金利が1%違うとどうなる?返済額の差をシミュレーションで徹底解説

住宅ローンを検討しているときに、誰もが一度は思うのが「金利が1%上がると、返済額ってどのくらい変わるの?」 という疑問です。

一見わずかに見える「1%の差」ですが、実は35年ローンのような長期返済では、総返済額に数百万円単位の違いを生むこともあります。金利が上がるだけで、月々の支払いが数万円増えるケースもあり、家計への影響は決して小さくありません。

しかし、「なんとなく怖い」と感じている人も、金利の仕組みや返済額の計算を理解すれば、漠然とした不安がなくなります。

この記事では、住宅ローン金利が上がるとどうなるのかを、実際の数値を使ったシミュレーションでわかりやすく解説します。

さらに、固定金利と変動金利の違いや、金利上昇に備えるための考え方も紹介。

この記事を読めば、住宅ローンを「感覚ではなく、数字で判断」できるようになり、あなたにとって最適な金利タイプを選ぶヒントが得られるはずです。

住宅ローンの金利とは?基本をおさらい

住宅ローンを利用してマイホームを購入する際、返済総額に大きな影響を与えるのが「金利」です。

金利はお金を借りるための“コスト”です。それは、ほんのわずかな違いでも35年などの長期ローンでは、支払総額に数百万円単位の差が出ることがあります。

まずは、金利がどのように返済額に影響するのか。そして固定金利と変動金利の違いを簡単に整理しておきましょう。

金利の仕組みと返済額の関係

住宅ローンの返済額は、「元本(借りた金額)」と「利息(お金を借りるための手数料)」の合計で構成されています。

この利息は金利によって決まります。なので、金利が高ければ支払う利息も多く、金利が低ければ少なくなります。

たとえば3,000万円を35年ローンで借りた場合、金利が1%上がるだけで総返済額が約600〜700万円変わることもあります。

これは、長期にわたって利息が積み重なるためです。

住宅ローンは「毎月少しずつ返していく」ものです。しかし、その期間が長いほど、金利の影響が大きくなります。

また、返済方式には「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。ですが、多くの人が利用しているのは、毎月の支払額が一定の「元利均等返済」です。

ただし、この方式では返済初期は利息の割合が大きく、なかなか元本が減らないという特徴もあるため、金利の影響を受けやすい点を理解しておく必要があります。

固定金利と変動金利の違いを簡単に整理

住宅ローンの金利タイプには、大きく分けて「固定金利」と「変動金利」の2種類があります。

固定金利は、借入時に金利が決まり、返済が終わるまで変わらないタイプです。

金利が上がっても返済額は一定なので、将来の家計を見通しやすく、安定した返済計画を立てられるのがメリットです。ただし、借入当初の金利は変動型より高めに設定されており、短期的にはコストがかかる傾向があります。

一方、変動金利は、市場金利の動きに応じて金利が半年ごとに見直されるタイプです。

初期金利が低く、当初の返済負担を抑えやすい一方で、将来的に金利が上昇すると返済額が増えるリスクがあります。

低金利が続く局面では有利ですが、景気や金融政策の影響を受けやすいため、今後の金利動向を定期的にチェックする姿勢が求められます。

金利が1%違うと返済額はいくら変わる?

住宅ローンの金利は一見わずかな数字の差に見えますが、実際には35年という長期返済では、家計に大きなインパクトを与えます。

「金利が1%違うだけでどれほど支払いが変わるのか?」を、実際のシミュレーションを使って具体的に確認してみましょう。

3,000万円を35年ローンで組んだ場合の比較シミュレーション

たとえば、3,000万円を借入期間35年(420か月)で返済するケースを想定します。ここでは、金利が 0.5%・1.5%・2.5% の3パターンで比較してみましょう。

金利月々の返済額(元利均等)総返済額(35年間)金利差による総負担増
0.5%約7.6万円約3,190万円
1.5%約9.3万円約3,880万円+約690万円
2.5%約10.7万円約4,500万円+約1,310万円

このように、金利が1%上がるだけで、総返済額が約700万円も増加します。つまり、住宅ローンの金利は「わずか1%の違い」でも、家計に大きな影響を与えることがわかります。

月々の返済額と総返済額の差を具体的に計算

金利差の影響は、月々の返済額にも大きく表れます。たとえば、金利0.5%と1.5%の差では、毎月の返済額が約1.7万円も違います。月1.7万円の差は年間で約20万円、35年間では約700万円以上の差になります。

この差額は「外食を控える」「保険を見直す」といった日常の節約努力では埋まらないほどの金額です。そのため、金利が少しでも低い時期にローンを組む、または借り換えを検討することが、長期的に見て非常に効果的な判断といえます。

金利差による家計への影響をイメージ

金利が1%上がるということは、家計の固定費が年間で数十万円単位で増えることを意味します。
たとえば、月の返済が9万円から10万円に増えるだけでも、家計全体では年間12万円、10年で120万円の支出増。
教育費や老後資金など、他の支出とのバランスが崩れる可能性があります。

一方で、金利が低いうちに住宅ローンを組めば、その分余裕を持った資金計画を立てられます。
「金利1%の差=生活のゆとりの差」と言っても過言ではありません。
家計に無理のないローンを組むためにも、金利の変化がどれほど影響するのかを理解しておくことが重要です。

金利上昇で返済額が増える理由

住宅ローンにおける「金利の上昇」は、単なる数字の変化ではありません。金利が上がることで、返済額や総返済額が増えるだけでなく、元本が思うように減らないといった副作用も発生します。

ここでは、金利上昇がなぜ家計を圧迫するのか、その仕組みと注意点をわかりやすく解説します。

利息の計算方法と「元利均等返済」の仕組み

住宅ローンの返済方法として最も一般的なのが「元利均等返済」です。これは、毎月の返済額(元金+利息)が一定になるように設定された仕組みです。たとえば、毎月の返済が9万円であれば、金利が変動しても基本的には9万円を払い続けることになります。

ただし、返済の内訳は常に一定ではありません。返済初期は利息の割合が大きく、元本がなかなか減りません。金利が上がると、この利息部分の負担が増えるため、元本の返済がさらに遅くなります。

つまり、金利が上がる=「同じ金額を払っているのに元本が減らない」状態になり、完済までの道のりが長くなるのです。

金利が上がると総返済額が膨らむメカニズム

金利が上昇すると、利息の計算に使われる基準が変わるため、支払う利息の総額が増加します。利息は「借入残高 × 金利」で算出されるため、金利が上がればそのまま利息額も比例して増えます。

たとえば、3,000万円を35年ローンで借りている場合、金利が0.5%から1.5%に上昇すると、総返済額は約700万円増加します。しかも、返済初期ほど借入残高が多いため、金利上昇の影響が最も大きくなるのは借入直後です。

また、金利が上がった際には「未払い利息」が発生するリスクもあります。これは、毎月の返済額で利息を払いきれず、その分が元本に上乗せされてしまう現象です。結果として、借金が減るどころか増えるという悪循環に陥る可能性もあります。

金利上昇局面で注意すべきポイント

金利が上昇する局面では、まず「返済負担率(年収に対する返済の割合)」を確認することが大切です。

理想的な返済負担率は年収の25〜30%以内とされており、これを超えると生活費や貯蓄に余裕がなくなるリスクがあります。

また、変動金利を選んでいる場合は、半年ごとに見直される金利に注意を払いましょう。

急激に金利が上がらなくても、数年かけてじわじわと上昇するケースもあります。金利上昇が続く兆しを感じたら、早めに「繰上げ返済」や「固定金利への借り換え」を検討するのが賢明です。

さらに、金利上昇期には「ボーナス払い」などの負担が重くなることもあるため、収入の変化に対応できる柔軟な返済計画を持つことが重要です。

関連記事:固定金利と変動金利、どっちが得?住宅ローン金利比較について

実際に金利が1%上がったらどうなる?ケース別解説

住宅ローンの金利が1%上昇した場合、家計にどれほどの影響が出るのか。これは、多くの住宅購入者が最も気になるポイントです。

「変動金利」と「固定金利」では影響の大きさが異なり、また、金利上昇が見込まれる局面では借り換えの判断も重要になります。

ここでは、それぞれのケース別に具体的な影響と対応の考え方を解説します。

変動金利で借りた場合の影響

変動金利は、借入時の金利が低い代わりに、将来の金利上昇リスクを負うタイプです。たとえば、3,000万円を金利0.5%・35年ローンで借りた場合、月々の返済額は約7.6万円です。

これが金利1.5%に上がると、返済額は約9.3万円へと増加し、月々1.7万円、年間で約20万円の負担増となります。

さらに、総返済額では約700万円の差が生まれる計算です。このように、金利上昇は長期的な返済計画に大きな影響を与えるため、変動金利を選ぶ場合は「余裕資金の確保」と「金利動向の定期的な確認」が欠かせません。

特に2025年以降は金利上昇局面に入る可能性も指摘されており、金利が上がる前提での返済シミュレーションをしておくことが安心につながります。

関連記事:変動金利のリスクとは?知らないと危険な金利上昇シナリオを徹底解説

固定金利で借りた場合の安心感

一方、固定金利は借入時の金利が返済完了まで変わらないのが最大の特徴です。

たとえば、借入時に金利1.5%で契約した場合、その後金利が2.5%や3.0%に上昇しても、返済額は契約時のまま据え置かれます。

この安定性こそが固定金利の強みであり、将来の金利変動を気にせず安心して返済を続けられる点が魅力です。

ただし、当初の金利が変動型より高いため、短期的には支払い総額が多くなります。

したがって、「長期間同じ家に住む予定がある人」「将来の金利上昇に不安を感じる人」には、固定金利が向いていると言えるでしょう。

また、金利が低い時期に固定金利で借りられた場合、将来の上昇局面でも“勝ち組ローン”になることがあります。

金利が上がるほど、固定金利の安定性は相対的に大きなメリットとなります。

借り換えを検討するタイミングとは?

すでに住宅ローンを返済中の人にとっては、「金利が上がりそうなタイミングでどう行動するか」が重要なポイントです。

特に変動金利で契約している場合、金利が上がる前の段階で固定金利への借り換えを検討するのが効果的です。

一般的に、借り換えを検討すべきタイミングは以下の3つです。

  1. 現在の金利より 0.5%以上高くなりそうなとき
  2. 借入残高が 1,000万円以上ある
  3. 返済期間が 10年以上残っている

これらの条件に当てはまる場合、借り換えによって総返済額を抑えられる可能性があります。

ただし、借り換えには手数料や登記費用などの諸費用もかかるため、「金利差でどれだけ得をするか」を試算して判断することが大切です。

また、最近は「変動+固定」のミックスローンを選ぶ人も増えています。

リスクを分散しながら返済の安定性も確保できるため、リスク管理の一つとして検討する価値があります。

金利上昇リスクに備えるための3つの対策

金利は景気や政策によって変動するため、「今の低金利がずっと続く」とは限りません。

住宅ローンを安心して返済していくためには、金利上昇を前提とした資金計画を立てておくことが欠かせません。

ここでは、金利上昇のリスクに備えるために実践すべき3つの具体的な対策を紹介します。

① 返済額に余裕を持つ資金計画を立てる

まず最初の対策は、返済額に余裕を持つ資金計画を立てることです。住宅ローンの審査では「借りられる金額」が示されますが、実際に重要なのは「無理なく返せる金額」です。

一般的に、返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)は25〜30%以内が理想とされます。

たとえば、年収500万円の場合は年間返済額を120〜150万円(=月10〜12万円)程度に抑えるのが目安です。

この範囲であれば、将来的に金利が上昇しても家計が急に苦しくなることはありません。

また、ボーナス返済に頼らず、ボーナスがなくても返せる金額で計画を立てることが、長期的な安定につながります。

② 繰上げ返済で元本を早めに減らす

次に効果的なのが、繰上げ返済によって元本を早めに減らす方法です。

住宅ローンの利息は「元本 × 金利 × 期間」で計算されるため、元本を早く減らすことで将来の利息負担を大きく抑えることができます。

たとえば、借入から5年後に100万円を繰上げ返済すると、金利1%の場合で総返済額を約40万円減らす効果があります。

さらに、返済期間も半年〜1年短縮できるケースも多く、金利上昇リスクを軽減できる実践的な方法です。

特に、返済初期の繰上げ返済は効果が大きいです。

「ボーナスの一部を繰上げに充てる」「定期的に10万円ずつ返す」など、無理のない範囲で計画的に実施することで、将来の安心感が大きく変わります。

③ 金利動向を定期的にチェックする習慣をつける

3つ目の対策は、金利動向を定期的にチェックする習慣を持つことです。

変動金利を選んでいる人はもちろん、固定金利の人も、将来の借り換えや繰上げ返済の判断に役立ちます。

金利は半年ごとに見直されるため、最低でも年2回は金融機関の金利動向を確認するのがおすすめです。

また、日銀の金融政策発表や経済ニュースにも注目しておくと、今後の金利の方向性をある程度予測できます。

金利上昇の兆しが見えた段階で、借り換えを検討したり、繰上げ返済を前倒しするなど、早めに対応すれば影響を最小限に抑えられます。

「金利に関心を持つこと」が、実は最も効果的なリスク対策なのです。

「1%の差」が将来の安心を左右する

住宅ローンにおいて「金利1%の差」は、決して小さな数字ではありません。

たとえば3,000万円を35年ローンで組んだ場合、金利が1%違うだけで毎月の返済額が数万円、総返済額では数百万円の差が生まれます。

つまり、ほんの少しの金利差が、将来の家計や生活のゆとりを大きく左右するのです。「1%の差」は、あなたの将来の安心そのものといっても過言ではありません。

一方で、金利上昇のリスクを正しく理解しておけば、住宅ローンは決して怖いものではありません。金利が上がる仕組みや返済額への影響を知り、余裕を持った資金計画を立てておけば、不安を最小限に抑えながらマイホームの夢を実現できます。

また、繰上げ返済や借り換えなどの対策を取ることで、金利上昇時にも柔軟に対応できる体制を整えることが可能です。

「知らないこと」が不安を生みますが、「理解していること」は安心に変わります。

そして何より大切なのは、自分に合った金利タイプと返済計画を選ぶことです。

固定金利には安定性があり、変動金利には柔軟性があります。

どちらが正しいというわけではなく、家計の状況やライフプランに合わせて最適な選択をすることがポイントです。

今後の金利動向を意識しながら、無理のない返済を続けていくことで、「安心して暮らせるマイホーム」を実現できるでしょう。

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